2008/11/21

くずれおちる海浜公園

ずいぶん昔に下書き途中で力尽きていた詩を、化石となったHDDの奥から発掘しました。なんとなくそのまま貼り付けてみます。使えそうなパーツもありそうなのでそのうちなんらかで完成させてみようかなあとおもいます。冒頭と結びとタイトルが弱いのと、全体の流れと主題が集約しきれてないのをなおせば、なんとかなるかしら。どうかしら。


★★★★


くずれおちる海浜公園

                
雪原に割れ落ちる十二月の椰子の果実に
石鹸の泡でつくった石鹸の真っ白な亀裂から電極を繋ぐと
知らないシオマネキからの文字化けした電子メールが
泡と沫に挟まってる
(椰子がPCとしても利用できるとは知らなかった)
潮の匂いに記されたIPから発信元を辿ると
異国の波打ち際に置き去りの
誰かの集めた貝殻の山積としての観光地

立ち寄った白い貝の旅館に
砂に埋もれたロビーを徘徊する節足の孤独の博物史
幼い孤軍や老いた孤島土管に住む田螺の孤高
最後に展示された
殻の中が空洞のフナムシと化した
私の思い出を夜のさざ波が削いでゆく

潮臭い満ち欠けの縁側に腰掛け
慰みの犬笛を吹くと
月の剥がれて落ちてきたのが
てんにょさまになって浜を這ってる
あかい鈎鋏を背負った美しいてんにょ
月明りの甲殻を焼くごとのあまい匂いの蒸気
婚姻を交わすため細い節足を摘みあげると
足から胴へぶちぶちぶちぎれてゆくし
落ちて弾けては砂を朱色に染めるのだ
(やっぱり月の滴の落ちるようなんだなあ)

砂浜にてんよを埋葬すると
埋めても埋めても波音がその脚線を露に
憐れなふうなので私も半身を埋葬してみる
ともに苔・ぜんまい・夏野菜のむすまで
無声の波音二人の内耳をゆきてかえりし
黒光りする潮二人を遠い異国の空に流罪
七日にスリランカの空港を発つ籠で共に
という声が聞こえるようにも思えたが
もちろん約束は聞きまちがえ
私は古代の海浜公園の待ち人

古代展望台には恋がモチーフの干魚の宙吊り
眼孔の深い闇夜から流れ落ちろフナムシの列
血管か産道を想起させる気なんだろうな
各々の卵管にねじ込まれた赤と青のコード
古代は電信柱として利用されていたのだろう
その収束する先に繋ぎとめた波際の腐り竹
私くらいの常習者になると
ネジ穴の数で年代が分るのだ

背後で民家の藁扉が開き
さびしい夜明けが滲んでくる
逃れたく竹のネジ穴に指を入れ遊ぶと
(穴の中に先住していたやわらかな
平均潮位測定師は割り箸で引き摺りだした)
海流を漂泊するおよめさんの籠に
世界規模の魚群を介して通信が繋がる

もしもし私のおよめさんでしょうか
「さっきセーブは済ませたと思ったの
ですが折句の間違いでしたでしょうか」
わたし心が弱いので一人はいやですが
「本当言うと君の報告書は
全て文字化けしていましたが」
世界的なてんにょと夫の通信が
混線した結果妻の声が聞こえない
そもそも私のおよめさん日本語を話せたかしら

生きる事は行方不明になった虫の瞳のようだと
竹に誰かが刻んでいました
苔色のコートのちぎれた衿をたて
北からの時化に震える骨を
両手でかばいながら
足下に集まるフナムシを一匹づつ潰してゆく
ついに岬には透明な雪まで降り出し
私は虫のような涙が出る
ここはさびしいところですね

唐突な明け方に弱気なさかなが驚き
ネットワークがほどかれたか
およめさんとの通信が途絶えた
ネジ穴から指を引き抜くと
竹はざざりと砂浜になり崩れ落ちる
途方にくれた私は間抜けに口をあいたまま
真夜中の洗面台のコルク栓に突き刺さっている
情動的な水産業に私なりの色目を使いまわしながら
細い竹の中に篭り平均潮位を計り続けている

水瓜の半弧に誘われ星が吸い寄せられる時
遠く記憶のクレーターへゆけよ天女達の銀殻の籠
ただひとり取り残された糸くずの
メールが洗面器の波間に揺れる時々に
化けた文字の先に古代の遠い詩語を見る
「あいしています」
なみだが風呂桶に川を光らせたら
それは一体何を隔てるのかしらと
報告書に書き出してみる
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2008/02/26

真夜中切断面

建蔽率の低い不良物件である私は「真夜中の武蔵野市」に放置された片方だけの軍手の内奥にて静養の最中に吉祥寺の「祥」の字の中でも更に「羊」の真中の短い「ー」の左端に埋設されたフレンチカフェ「首狩り地蔵」にて最期の朝食をと考え千年前から飛来する鋼鉄の通り雨が大地に突き立てられる猫町商店街を八本の髭を湿らせ掻い潜る私を誰もが猫として畏敬の念とともに接客後徹底した顧客満足を核廃棄物処理場の底から追求し真夜中の蠕動運動に切断された赤黒い断面の苺とその破片税込980円を四ツ谷ドトールの店員がいざなう生老病死の真理の斜め向かいに在る全裸いちご狩り牧場の畑に弔われた切断されたもう片方の軍手の断面と私の心の断面との奇妙な一致が真夜中と私との建蔽率をさらに低下させる。
2007/04/19

Make it Home (アメフリネグラのしゅだいか)

もしきみに
帰る家がないのなら

白波の泡沫を
紅葉の明滅を
こいぬの詰まった小さな木箱を
還らぬ木霊の草枕を

きみの家にすればいい

きみの家は失われてはいない
それはあらゆる場所にて
とろとろのお豆のスープを温めながら
きみの帰りを待っている
そのさびてひねくれた小さなお鍋は
遠い昔にこの星に流れ着いたきみをあたためた
大きくてやさしい生き物のお鍋

もしきみに
帰る家がないのなら
そこを
きみの家にすればいい

2006/12/28

土8という詩篇

罪をあがなうために
浜辺に腰掛け
空からタライが降ってくるのを待っている

罪をあがなわんとすべての人々は
土曜8時という概念に全員集合する
宗教的な張子の庭園で
鬼の衣装でタライを乞うている
魂に打ち付ける鋼鉄の苦悶の果てに顕れる
全ての過失を許すあの詩語を求める


「だめだこりゃ」


8時だョ!全員断罪!

2005/12/09

Dead Melody

近頃、街中にアベックが目立つのは一体何の呪詛なのか
このままでは日本国は危ないのではないか、と懸念していましたが、
クリスマスなんですね。忘れてた。

クリスマスって、アレでしょ。僕知ってるよ。
夏に餌をやらず死なせた自慢のカブト虫たちの残骸を
各自持ち寄って見せびらかした挙げ句
あのよく分かんない緑色の円錐形にくくりつけてお弔いする日でしょ。
カブト虫なんかに、誰が、嫉妬するものか。
カブト虫なんか欲しくない。欲しくない全然欲しくない。

なぜなら、僕自身の身体が、
死んだカブト虫の匂いを発している事に、気付いたから。

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